レディバード
レディバードを見た。
監督と脚本はグレタガーヴィグっていう人。
この人は全然知らないが、もともと脚本家志望だったが
役者としてキャリアをスタートさせたらしい。
現在35歳とのこと。
若い。
この映画は今年の夏に公開していて、面白かったので昨日2回目を見た。
この映画の主人公は高校生でサクラメントに住んでいる。
大学はニューヨークに行きたいと言っているが、
家庭の経済環境が芳しくなく母親は猛反対。
そんな中での青春の話である。
この主人公はコンプレックスでいっぱいなのだ。
家が貧乏。
サクラメントという土地が田舎(これは詳しくは知らないがそういう描かれ方をしている。)
男性経験がない。
などなど。
でもそれを主人公は言葉には発しないし、側から見れば親友もいて楽しそう。(この親友は人の良さそうなおデブ)
家族も貧乏ではあるが、仲が悪いわけではない。
でもこの主人公は今の現状に不満があるし、なんとかこの狭い世界から飛び出したいと思っている。
それを言葉にすると大人にちょっと邪魔にされる。
そうなるとどんどん拗らせてつまらないことでムキになったり喧嘩になったりする。
わかる。わかるぞ。
自分の学生の頃、強いては今を考えてもこの主人公と同じようなことを考えている。
誰もが「この映画は俺の映画だ。」と思えるのだと思う。
この主人公の言葉にならない感情を表現するのには、
セリフで独白などするのではなく
様々な登場人物と何気ない会話をしたり行動をしたりする事で
表現している。
実に映画的な表現で、決して少なくない登場人物と複雑な感情をここまで手際よく、ユーモアたっぷりに見せるのは見事だ。
(映画とはそうあるべきだとはおもうのだが。。。)
好きなシーンはいっぱいある。
同級生のイケイケのエロい女と仲良くなるのだが
停学になった時にそのエロ女が家まで来てくれるのだが、
その女に教えた家は町の近くの憧れの家
(その家はゲイの元彼の家)
で
すぐあとに本当の家に来るのだが
「めちゃくちゃ怒られた」とか言ってて笑えるシーン
なのだが、同時に切ない。
母親がこの会話を聞いたらどう思うのだ
その女は続けて「こういう嘘意味わかんない」という
たしかに意味はわからないのだが、
この主人公にとってはそれは自分のコンプレックスであり、
切ない嘘なのだ。
それに続けて女は「カイル(主人公の彼氏)の彼氏だから許す」という。
この笑えるシーンで主人公とこのエロ女は住む世界がちがうというのがわかる。
そのエロ女のオディアラッシュ。
最高である。
同じ日にトリュフォーの「大人は判ってくれない」も見たが
似てるとおもった。
あらすじとかではなく、根っこの部分が。
(根っことはなんなのだ。)
この映画で結局、母親は主人公のことを理解しないし、しようともしない。
でも母は主人公を応援する。
そういうものなのかなと思う。
自分の中学や高校を思い出す。
あまり言葉にはできないが自分にどうしても重ねてしまう、
いい映画でした。